水星磁気圏探査機みお

[ISAS news] 「みお」、2回目の年越し (関)

2020年01月27日

2019年12月10日に、「みお」の2回目のクルーズチェックアウトを行いました。クルーズチェックアウトとは、ISASニュース2019年7月号でご紹介したとおり、定期健康診断にあたるようなもので6-8ヶ月に一度の頻度で行われます。この健康診断の手順は基本的に毎回同じで、一連のコマンドはあらかじめ探査機に登録し、決められた時間にスタートするように設定しておきます。データはリアルタイムで見てもよいし、後程オフラインでじっくりと確認することもできます。

BepiColomboミッションの運用主体はESOC(ドイツ)にあるため、あちらの勤務時間帯にあわせて運用計画が立てられることが多く、日本時間では夜間の運用になりがちです。運用関係者の負担を軽くするために、実績のある手順や即時判断を必要としない手順は自動で進行するようにし、結果は後で確認するという方針を取っています。MPOやMTMも同じコンセプトで運用しており、特段の運用要求がない期間は探査機とのコンタクトを週1回に減らすことで省力化をし、今後のフライバイや水星軌道投入のための準備に注力する、といったアプローチをとっています。年末年始は欧州側のクリスマス休暇も含め運用が約2週間お休みとなりました。昨年と違い、イオンエンジン運転期間ではなかったので、探査機も慣性飛行しつつ静かに年を越したことでしょう。ちなみに、BepiColomboの水星周回軌道投入予定は2025年12月5日頃、みおの分離は2025年12月末頃の予定です。すでにJAXA・ESAの運用関係者間では、"No Holiday!"と、自虐的に語られてしまっています。ゆっくりお正月をすごせるのもあと5回と思うと...なんだか戦々恐々としますね。

クルーズ中は避けて通れない夜間の長時間運用ですが、合間の息抜き方法として運用メンバーは様々な試みを試してきました。「はやぶさ2」に「スナック乙姫」があるように、「みお」にも独自のリフレッシュ手法が生まれつつあります。これについても、いつか紹介できると思いますので、お楽しみに。

BepiColomboは今年4月に地球フライバイをし、まずは金星へ近づく軌道にのります。いよいよ水星に向けて一歩踏み出す、とても楽しみな2020年です。

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プロジェクトマネージャが月光天文台の方からいただいたという「みおつくし神社(澪標住吉神社)」の御守り。「みおつくし」は、探査機の愛称に深く関係する言葉でもあります。

この記事は、ISASニュース 2020年1月号 (No. 466)に掲載されています。

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