水星磁気圏探査機みお

[ISAS news] 水星磁気圏探査機「みお」の初期チェックアウト、無事終了!(関)

2018年12月20日

国際水星探査計画 BepiColombo の水星磁気圏探査機「みお」、水星表面探査機 MPO および電気推進モジュール MTM は 2018 年 10 月 20 日の打上げ後、58 時間にわたるクリティカルな初期フェーズを経て、NECP(Near Earth Commissioning Phase)とよばれる近地球チェックアウトフェーズに移行しました。

このフェーズでは、MPO・MTMのサブシステム、MPOの観測機器、そして「みお」の初期チェックアウトを行います。 「みお」、MPO、MTMは結合した状態で水星軌道まで巡行しますが、この間「みお」が生成するデータは MPOのテレメトリの一部として地上に送信されます。MPO との通信には、ESA が所有するマラルグエ局(アルゼンチン)が主に使われます。

MPO テレメトリは、BepiColomboの運用を行うドイツのESOC(欧州宇宙運用センター)に送られ、その中から「みお」のデータを抽出してJAXA の地上系システムに配信しています。ISAS の運用室はもちろんのこと、ESOCの一室にも必要な機器を設置しテレメトリを確認できるようにしました。 コマンドは ESOC の管制室から送信します(筆者の持ち場はこの管制室です)。ISAS の運用室と連絡を取りつつ、ESOC のオペレータにコマンドの送信指示を出していきます。

11月6日に「みお」に電源を投入し、慎重に各機器のチェックを進めました。日本/ドイツの2拠点にメンバーを配置し連携して進めるこの方法は、地上試験や運用訓練で何度も練習したかいがあり、手順を非常に順調に進めることができました。 「みお」は 2015 年4月に日本を出発して以来、打上げまで実に3年半を海外で過ごしています。この間、何度も電気試験を実施しましたが、関係者全員がその都度現地に行けないため、海を越えて伝送されるテレメトリを日本で確認していました。「海外」が「宇宙」になっただけで、どこか遠くから届くデータを淡々と確認することに変わりはないのですが、-110°Cを示す温度データや日々長くなる伝搬遅延時間が、「みお」は確かに宇宙にいてしかもずいぶん遠くにいるんだなぁと実感させてくれます。

「みお」の初期チェックアウトは11月26日に完了し、探査機に異常がないことが確認できました。次回は2019 年春~夏(予定)の観測機器詳細チェックアウトです。それまで「みお」の運用はしばしお休みとなります。

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バス部のチェックアウトが一段落し、ESOCの管制室で記念写真(JAXA、NEC、ESA、Airbus DSの運用関係者)。一緒に水星を目指す頼もしい仲間たちです(前列左から2番目が筆者)。

この記事は、ISASニュース 2018年12月号 (No. 453)に掲載されています。

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