[ISAS news] BepiColombo流、温故知新 -打上げ1周年を迎えてのサイエンス会議開催- (村上)
2019年11月29日
BepiColombo打上げ成功から1年が経とうとする2019年10月14-18日に、オランダ・欧州宇宙機関(ESA/ESTEC)にて第19回BepiColomboサイエンスチーム会議(SWT)を開催しました。この移動日にあたる時期に台風21号が日本列島を直撃し、大きな被害をもたらしました。この台風だけでなく複数の台風で被害を受けた方々へ、この場を借りて心よりお見舞い申し上げます。筆者は移動便を早めに変更して会議初日までにたどり着けましたが、多くの日本人参加者は遅れての到着や参加キャンセルを余儀なくされました。
今回は打上げ1周年のお祝いも兼ねたため、参加者は総勢150名以上と過去最大規模となりました。若手研究者を中心とした活発な議論からスタートし、水星の各研究分野に分かれての小会合、プロジェクト進捗報告、最新の水星研究講演、「みお」・MPOそれぞれのメンバーとの議論という構成でした。運用が順調に進んでおり、一部の観測装置はすでにクルーズ中の観測を開始したことが報告されました。またESAの太陽観測衛星Solar Orbiterとの共同セッションを初めて開催し、クルーズ中の内部太陽圏探査に関して協力関係を築けたことは新たな収穫でした。
これらのセッションに加え、今回は特別に「ヒストリーセッション」を開催しました。日本からは向井利典名誉教授にご参加いただき、1997年の水星探査WG発足から日欧共同計画に至るまでの紆余曲折を語っていただきました。欧州側からはYves Langevin氏による1983年の水星探査計画提案当初からの経緯について講演があり、特に"Good ideas never die(even if may take a while...)"「よいアイデアは決して死せず(時間はかかるかもしれないけどね...)」という言葉が胸に刺さっています。そのあとはESTECのレストランで1周年お祝いパーティー。特に英仏の研究者らとはラグビーW杯の話題で盛り上がりつつ、長い歴史を乗り越えてついに宇宙へ旅立ったBepiColomboをお祝いしました。 5日間に及ぶ長丁場の会議を終えた後はESA側プロジェクトサイエンティストであるJohannes Benkhoff氏の自宅へお呼ばれして打上げディナー。会議の反省から筆者がISASで披露するダンスの話まで率直な会話を交わし、まさに国際協力の神髄を感じつつ帰国の途に就きました。
この記事は、ISASニュース 2019年11月号 (No. 464)に掲載されています。