水星磁気圏探査機みお

[ISAS news] 日本の大型パラボラアンテナも活躍中 (小川・領木・内村)

2020年09月03日

「みお」のテレメトリやコマンドの授受は、第14回でご紹介した通り、MPO経由で行っています。そのMPOと地上との通信には、日本の大型アンテナも活躍しています。

日本のアンテナを使うときも、MPOの衛星管制運用者はドイツESOCにいます。コマンドはESOCからISASへ、さらにアンテナへと送られて、ようやくMPOへ送信されます。アンテナで受信したテレメトリは逆ルートでESOCへ。ちなみに、アンテナを遠隔操作しているのは筑波宇宙センターです。MPOとの通信には、JAXAの複数の拠点と部署が連携しているのです。

地上系担当 小川 美奈 (おがわ みな)


長野県にある臼田宇宙空間観測所(以下「臼田」という。)では、口径64mのパラボラアンテナが今日も深宇宙探査機と通信しています。

日本一大きな口径をもつ臼田64mアンテナは1984年にハレー彗星探査試験機・探査機「さきがけ」「すいせい」の運用のため整備され、現在に至るまで金星探査機「あかつき」や小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」といった様々な探査機との通信を担ってきました。水星に向かい航行しているMPOとの通信も臼田64mアンテナでサポートしています。

整備から長い年月が経った臼田64mアンテナは老朽化により、MPO、「みお」運用局の役目をまもなく後継局にバトンタッチします。

追跡ネットワーク技術センター 領木 萌子 (りょうき もえこ)


臼田の後継局として、臼田から直線距離で約1.2km程度離れた場所に美笹深宇宙探査用地上局を整備中です。アンテナの口径は臼田より一回り小さい54mですが、受信性能等の向上により、性能は臼田と同等となっています。

2015年から開始した整備も終盤を迎えており、2020年8月現在、現地では大電力増幅装置(SSPA)の整備中であり、インテグレーション試験、試行運用を経て、2021年4月以降、本格的な運用を開始します。

「みお」水星到着後、「みお」との通信の要となるので、シミュレータを用いた適合性試験もしっかり行う予定です。

深宇宙探査用地上局プロジェクトチーム 内村 孝志 (うちむら たかし)

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力強い臼田64mアンテナ(左側上下)と近未来感あふれる美笹54mアンテナ(右側上下)

この記事は、ISASニュース 2020年8月号 (No. 473)に掲載されています。

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