水星磁気圏探査機みお

[ISAS news] 赤道直下の移設作業 (太田)

2020年11月30日

オランダでの試験が終わり、ついに探査機は射場へ移動となります。場所は仏領ギアナにあるCSG(Centre SpatialGuyanais)。MMO(「みお」)の地上システムに係る作業として、私は2018年5月、8月、9月の3回CSGへ出張しました。現地では空港、ホテル、CSG以外は英語があまり通じない事(現地はフランス語)の他は特に不自由なく過ごせました。現地のレストランでは生肉料理であるタルタルを知らずに注文し、初めて食べました。生牛挽肉の上に卵の黄身が乗っており、自分で好きな味付けをして食べるのですが、南米ということで生水などに気を付けるよう注意していたので、少し勇気が必要でした。食べてみると美味しく、その後タルタルを見つけると注文するようになりました。幸い、現地では私も含め、誰もおなかを壊すような事がなく、無事に滞在期間を終える事ができました。

さて、現地作業について。探査機本体は後述する専用機であるアントノフで空輸されますが、それ以外の装置類は船便で衛星より少し前に現地に到着します。我々は木箱で梱包された器材を開梱し、システムを構築するのですが、そこは赤道直下のギアナです。開梱作業は蒸し風呂のような暑さと湿度で、時折来るスコールに注意しながら、皆汗だくでの作業になりました。開梱、搬入後は装置の据付調整や日本とのデータ通信確認を行います。現地での電源配線工事や通信確認は現地の専門スタッフと調整しながら行いました。日本との通信に使用しているISDN回線がサービス終了していたというトラブルもあり、その原因が分かるまで何度も現地スタッフと調査をすることになりました。結果としてはうまく通信出来るように調整ができたのですが、国際ミッションならではの難しさを痛感しました。その後日本のスタッフや現地スタッフの協力で無事システム構築も完了、「みお」の搬入も終わり、打上げに向けた最終確認の準備が整いました。

この滞在を経て、国際協力ミッションの楽しさと難しさを覚え、好きなフランス料理が1つできた事が大きな収穫でした。

地上システム・運用担当 太田 方之(おおた まさゆき)

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(左)初見時に衝撃的だったタルタル (右)探査機移設作業を無事完了した後の集合写真

この記事は、ISASニュース 2020年10月号 (No. 475)に掲載されています。

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