[国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」の水星到着時期の変更]
2024年09月02日
BepiColombo(ベピコロンボ)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヨーロッパ宇宙機関(ESA)が協力して進める国際水星探査計画で、2018年10月に打ち上げられました。
水星に向かって航行中ですが、2024年5月に欧州宇宙機関(ESA)より、BepiColomboの電気推進モジュール(MTM)の電源系に不具合が発生し、イオンエンジンを最大出力で噴射できないことが報告されました。
Glitch on BepiColombo: work ongoing to restore spacecraft to full thrust(ESA)これまで原因究明と対策検討が進められ、今後MTMイオンエンジンは最大出力の90%以下で運用することが決定しました。ただし、この推力ではこれまで計画していた2025年12月の水星軌道投入ができないため、新たな軌道が検討されていました。検討の結果として、到着後の科学観測を変更せずに低下したイオンエンジン出力で水星に到着できる軌道が9月2日に発表されました(以下)。新しい軌道ではBepiColomboは約一年遅れて2026年11月に水星に到着することとなります。
Fourth Mercury flyby begins BepiColombo's new trajectory(ESA)9月5日(日本時間)の4回目の水星スイングバイからBepiColomboはこの軌道に変更します。4回目のスイングバイでは従来計画よりも高度を下げてその後のイオンエンジン出力を節約し、最後の6回目のスイングバイ後は新しい軌道で水星に向かいます。約一年遅れとなっても、JAXAが開発した水星磁気圏探査機(MMO:みお)、ESAが開発した水星表面探査機(MPO)の運用には支障なく、それぞれ従来計画していた科学観測を実施する計画です。
スイングバイ時にはMTMに搭載されているモニタカメラ(M-CAM)で美しい水星の近接画像を撮影して公開される予定ですので、期待していてください。
【関連リンク】
水星磁気圏探査機「みお」プロジェクト
水星磁気圏探査機「みお」(ISAS)
水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」プロジェクト(ESA)【英語】